やんばるの森 沖縄島北部の国頭村、大宜味村、東村を含む通称「やんばる」地域。
「山々が連なり森の広がる地域」を意味するこのエリアは、世界的にも貴重な自然の宝庫である。森林率が80%以上で、南北約23km、東西約12kmの日本の総面積のわずか0.1%の範囲の中に、多くの固有動植物、稀少動植物が生息している。2016(平成28)年には、やんばるの陸地と海域約1万6,300haがやんばる国立公園に指定された。
同じ北緯27度付近に位置する世界の地域の多くが草原や乾燥帯となっているのに比べ、やんばるは、モンスーンや暖流の黒潮の影響を受けることで亜熱帯性の多雨林を形成。温暖かつ湿潤な気候で、その恵みが森に還元されている。
沖縄本島南部が琉球石灰岩の弱アルカリ性土壌であるのに対し、やんばるは赤土の酸性土壌。やんばるの森で最も広い面積を占めている自然植生は、酸性土壌を好むスダジイやオキナワウラジロガシなどの亜熱帯常緑広葉樹林だ。
一部の標高の高い所では雲霧林が発達し、着生のシダ植物やオキナワセッコクなどのラン科植物が生育している。
河川上流から中流の渓流沿いには、熱帯・亜熱帯に特徴的な渓流植物が分布し、ヒカゲヘゴ、リュウキュウツワブキ、コモウセンゴケ、ヒリュウシダなどの植物も見られる。緑濃い森の中に美しい滝と池がある国頭村安波(あは)のタナガーグムイ一帯の植物群落は国の天然記念物に指定されている。

ヤンバルクイナの生息地